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朱里もみえたからとは
言えないので、
後は彼女に
任せるしかなかった。
「この頃は、
お父さんもあまり家に
帰って来なくなって、
それから、
お母さんは怒るのが
すごくなっちゃって。
もともと
すぐ怒る人だったけど。
でも、本当に
元に戻るならいいなぁ」
「あまり御自分を
責めないで下さいね。
なるようにしか
ならないのだと、
何処かで出会った
オバサンが言っていたな
とか思ってくれれば」
それに彼女は唇を
引き締めるようにして頷いた。
理由は判らないが、
朱里が自分の事を察して
くれているのだと言う事だけは
理解したようだった。
それ以上言う事もなく、
目が涙で赤くなっていた彼女に、
朱里はあえて声をかけずに
歩き始めた。
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