第12話 天より高く、海より深く

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黒いスーツ姿が歩道橋を渡って、 こちらに戻って来るのが見え、 その姿を占い所の前で 見ていたヨシキは首を傾げた。 朱里はいつもなら 通りの店など気にもしないで まっすぐに歩いて来る。 それがガラス窓を 覗き込むようにして じっと見つめて、 時折、 自分の頬に手をあてて、 次の店の窓には 自分の後ろ姿を 映して見ていた。 「あれ?朱里さん、 いったいどうしたんだ?」 何かしたのだろうか、と 思っていると 表情の冴えない朱里は、 ヨシキの前に辿り着くなり 言った。
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