第13話  花の色は

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「事務長の ハセクラさんだって ずっと狙っていたのに 気が付かなかった?」 「こんなオバサンに 何を言うのかなぁ。 眼科と精神科に 行って下さいよぅ」 そう言われてイダは 肩をすくめてみせた。 教室の隅で、いつもひとりで コツコツとやっていた 朱里の姿が思い出された。 黙っているだけかと思うと、 時に思いがけないことを言って いつも驚かされたものだった。 それほど朱里は誰よりも 他の者を良く見ていて、 気が付いたことを そっと教えてくれたり、 ちょっとした 気遣いをしてくれて、 どんなに助かったか 判らない。
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