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何があった訳でもない、
受講生同士であったと
言うだけなのに、
彼の変わらない
熱さが懐かしく、
そして、それこそは
朱里が持ち得ない
ものだと思った。
ついでに言えば、
こんな所で
ドラマのような
展開になるとは思っても
みなかったので、
ひとりで暴走しやすい
イダに内心
苦笑いしかなかった。
“勝手に
メロドラマしないでよぅぅ。
私にも選ぶ権利をくれぇい”
心の中でそう叫びながら、
朱里は彼を見上げた。
真っ直ぐに見上げて来る
薄い色の瞳はイダの口を
縫い止めたようだった。
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