第13話  花の色は

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「私が中学一年の時 クラス担任は 国語の先生で、 その先生が最初に、 黒板に書かれたのを 思い出します」 「は?」 「小野小町の歌を 書かれたんですよ、 私たちを見てね。 その時は 全く判らなかったけど、 その気持ちが今になって 良く判ります。 お互いに そうではありませんか?」 今までそんな事は 忘れていたのに なぜ急に思い出したのか、 自分でも不思議な気がしたが、 黙ったイダに 朱里は囁くように言った。 「ありがとうね、 こんなオバサン相手に」 「齢なんか関係ない、俺は」 「だから、 おめぇじゃあねぇンだよ!」 その怒鳴り声に 二人はヨシキの方を見た。 野太い声が建物に 響き渡るようだった。
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