第13話  花の色は

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朱里の脳裏に タカの過去が浮かんで来た。 陽の下を堂々と歩くことが 憚られる世界の人と、 なぜか縁を 持ってしまった老人は、 かつて家族を置いて 家を出て行き、 流れ着いて ここに来たと聞いた。 それはもう清算できたと 思っていたのだが、 まだその世界の者 らしき人が訪れる所を見ると そうもいかなかったようだった。 「ヨシキさん、 大丈夫ですか?」 「朱里さん」 カーテンを開けてみると ヨシキの喉元を 締め上げる男が、 こちらを向いた。 「なんだ!てめぇはよ?」 「警察を呼ぼう」 「なんだと!」 「待って」 朱里の後ろからついて来た イダを止めて、 朱里はその男に ゆっくりと一礼した。
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