第13話  花の色は

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「何言ってんだよ! ないはずがないだろうが!」 朱里はため息をついた。 足首が痛い。 そのせいで 集中が欠けるのが判った。 男はボサボサの髪を かき回して 叫ぶように言った。 「やっと奴らを 見返してやれたのに、 ちくしょう! このままじゃ、 本当に殺される」 「ではそれでいきましょう。 逃げ切れるか否か、 それで構いませんね?」 男はあっさりとした 朱里の物言いに、 一瞬だけ 面食らったようになり、 そして頷いた。 男も、 そしてその後ろにいる ヨシキもイダも、 黙るしかなかった。
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