第13話  花の色は

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意を決したような 朱里は立ち上がると 亀ネギ仙人の像に 手を触れた。 そして その足に手をかけて、 そっとつぶやくと 棚の下から布にくるまれた 細長いものを出して来た。 白地に山の刺繍が施された 四十㎝弱のその布袋には 筮竹が入れられていた。 竹を削って出来たそれは 通常五十本あり、 これを用いた占いは 古くから存在していて 時代劇でも見る事が出来る。 本来占いと言えば この易を指すのだが、 出て来る卦が断定的な事と これを扱う当の占い師でも、 その卦を読み取ることが 難しい為に 現在行う人は あまりいない。 また、多くの音が ひしめく現代社会では 精神統一を行う事も ままならないので、 こういった場所で行うには 不向きでさえあった。
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