第13話  花の色は

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筮竹を用いる 朱里を見るのは 初めてのヨシキは 興味津々で見ていた。 朱里の手で回される筮竹が ジャッ、ジャッと 言う竹の音を 小気味良く響かせた。 一本取って机に置き、 残りを持って占うその様は 誰も声をかける事が 出来ないくらい、 緊張感が漂っていた。 しばらくして、 手にした筮竹に一礼して、 置いた一本をもとに戻すと 朱里は口を開いた。 「お答え致します。 逃げる事は否、 戻る事が生、です」 「何だって?そんな馬鹿な! もう一遍やって見てくれ!」 「これに二度は出来ません。 一度限りのものです」 きっぱりと 言われて男は黙った。
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