110人が本棚に入れています
本棚に追加
筮竹を用いる
朱里を見るのは
初めてのヨシキは
興味津々で見ていた。
朱里の手で回される筮竹が
ジャッ、ジャッと
言う竹の音を
小気味良く響かせた。
一本取って机に置き、
残りを持って占うその様は
誰も声をかける事が
出来ないくらい、
緊張感が漂っていた。
しばらくして、
手にした筮竹に一礼して、
置いた一本をもとに戻すと
朱里は口を開いた。
「お答え致します。
逃げる事は否、
戻る事が生、です」
「何だって?そんな馬鹿な!
もう一遍やって見てくれ!」
「これに二度は出来ません。
一度限りのものです」
きっぱりと
言われて男は黙った。
最初のコメントを投稿しよう!