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ヨシキもイダもだった。
朱里の左肩が
白くかすんで見えた。
「奥様の言われることに
腹を立てて家を飛び出して
しまわれたのですね。
でも、それを奥様は
とても後悔なさって
おいでです。
反発し合うお二人ですが、
貴方が一歩引くことが
円満の要です。
くだらない、男が立たない、
そう思うでしょうが、
お客様がいたからこそ
奥様も頑張る事が
出来ていたはずです。
女性を立てる事が出来て、
陰から見守る事が出来る男性、
それがお客様なんですよ」
「女性を立てる事が出来る?」
少なくとも男であるには
前に立つべきだと思っていたので、
その言葉はヨシキにとっては
意外に聞こえた。
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