第13話  花の色は

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が、男は自分の事を言われて 驚いたようだった。 「な、なんで、 うちの奴の事を知って?…」 「奥様がお待ちです。 全てのカギは 彼女が握っています。 貴方が生き残る術も 備えておいでです。 もう一度甘えてみては いかがですか?」 「ばっ、馬鹿言うなぃ! みっともねぇ」 「ありがとう、 と言う相手がいる内に、 どうぞお帰り下さい」 その言葉に 男は複雑な表情をした。 怒ったような、 そのくせ泣きたいような、 大の男が涙目になる様を 朱里は黙って見つめて、 心に呟いた。 “そう。後悔する前に帰って。 貴方はまだやり直せる”
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