第13話  花の色は

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夫婦と言う言葉が まだ実感として 湧いてこないヨシキは、 何となく考え込んだ 顔つきでいたが、 朱里の声に我に返った。 「あ、気にしないでいいですよ、 朱里さんだから きっと納得させられたと思うし、 僕じゃ無理だったと思います。 半分喧嘩腰で変な風に 言ってしまいそうだったから」 「若い方には 軽い言葉の方が 受け取り易いこともあるし、 そうかと言って、 齢を重ねた方には 余計な言葉は いらない事もある。 人間はその時によって 受け答えの 言葉の重さが変わる、 おもしろい生物だと思うの。 焦らなくても 次第に判る事なので、 語る声を聞くことを 止めないでね」 「はい」
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