第2章 変転

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 ――杏子と緑へ  僕はもう、人間として限界のようです。これ以上、君たちに迷惑はかけられません。今まで本当にありがとう――  修一が書置きを残し、姿を消したのは、二月の終りのことだった。あれから九ヶ月が過ぎたが、未だに連絡はなく、行方は分からないままである。  緑たちは修一の失踪後しばらくすると、杏子の実家、赤木慶一郎の元に身を寄せることとなった。元々杏子一人のパート代では生計が苦しく、あのまま暮らしていたのでは、緑の高校進学すら叶わなかったかもしれない。
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