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発光する携帯が小刻みに床を蠢き、長いコードの尻尾を引き摺りながら、壁際からこちらへ向かって少しずつ移動していた。修一は徐にソファーから腰を上げ、寝ぼけ眼で、コンセントに繋がれたままの携帯を拾い上げた。非通知からの着信に胸騒ぎを覚え、緊張が蘇る。瞬時に覚醒した頭の中を漠とした不安が錯綜し、震える指で通話ボタンを押した。
「……も、もしもし」
『あっ、シュウさんすか?』
「は、はい」
『お疲れ様です、橋本です。実はちょっと面倒なことになりまして……』
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