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闇が広がる広大な空間の中。その中心部分に四人の子供が集まっていた。
子供達の周りには夥しい量の死体が積み重なっており、その表情のどれもが苦痛に満ちたものばかりである。
その死体達を背に、四人の内一人の少年が徐ろに口を開く。
「さて……これで残り四人なわけだが……どうする?」
その言葉には子供とは思えない程の濃密な殺気が込められており、一般人であれば即刻気絶する程のものだった。
しかし、他の三人はそれを気にした様子はなく、同じような殺気を放ちながら平然と話を続ける。
「私はあんた達と殺し合う気はない。……あいつらを殺した方がよっぽど面白くなりそうだし」
気の強そうな少女がそう言うと、他の二人も頷きながら同意する。
「僕もかな」
「………同じく」
話を切り出した少年は、三人の同意を得られたことを確認すると、何も言わず背を向けた。
すると、他の三人も背を向け、全員が同じタイミングで全く別方向へ走り出す。
少年が死体を踏みながら移動を続けていると、その目に幾重にも重ねられた金属製の扉が見える。
どう見ても突破できないような扉。
しかし、少年は関係ないと言わんばかりに、走るスピードを緩めず、“能力”を発動した。
「……否定」
その瞬間、嘘のように扉が消える。
少年は開いた穴からゆっくりと出ると、その目を細め呟く。
「……邪魔するやつは……殺す」
無能が、地獄から這い上がった瞬間であった。
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