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「気づいていましたか? わかるものですか?」
「倉田先生に聞いていたんだ。それで、もし俺がこの先君と出会うことがあったら、相談に乗ってほしいって言われてた」
父がそんなことを言っていたなんて。
「知ってのとおり、俺は同性婚しているから。それを病院に報告して大騒ぎになった時、久しぶりに倉田先生と連絡をとったんだ。相談に乗っていただいたし、その時倉田君のことを頼まれた」
「そうだったんですね……」
それでも今まで、久住先生が僕に話しかけてきたことはなかった。コンビニで顔は見たことがあったし、噂の医師だから僕も気にしていたのだが。
「俺はまあいいとして、倉田君は目立たないようにしているようだったから……倉田君に限らず、注目を浴びて下手にばれたくないって人は多いと思うんだけど。だからあんまり、俺が話しかけるのは良くないかなって思ってたんだ。でも、柏木さんを通して君と話す機会を得た」
こういう立場として話しかけていいかは迷っていたけど、と久住先生は付け足した。
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