第四章

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「でも俺のパートナーがね、そんなこと気にしてないで、患者さんのことを一番に考えて動けって怒鳴るもんだから。すごく短気なんだ、あの人。看護師だから仕事面でもすごく厳しくてさ……ごめん、話が逸れたね」 「患者のことを一番に考えて……?」 「そう。柏木さんのことを考えて動けって言われた。柏木さんが君をキーパーソンとするなら、君をフォローするのも緩和ケアチームの仕事だろって」 「キーパーソン?」 「聞いたことないかな? 本当は家族の人がなることが多いんだけど、柏木さんは家族がいらっしゃらないから、今までいなかった。患者さんが意思決定できなくなった時のことも考えて、病状を把握してもらう人、意思決定をしてもらう人のことを指すんだ」  病状を聞かせてもらえることになった。しかしおじさんにとって、僕はそれほど重要な立場にある人間なんだろうか。僕が落ち込んでいたから、気にしていたから、病状を聞かせるようにしてくれたに過ぎない。
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