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「相手にきちんと聞いてみないと、わからないよ。はっきり言う。残された時間は少ない。相手の気持ちを推測して満足するな。君が思っていること、柏木さんが思っていること、ちゃんと言葉を交わすんだ」
強い言葉が、僕の背中を押してくれるようだった。
「泣きたくなったら、怖くなったら、俺でも花井先生でも看護師さんでもいい。誰かに話して。誰でも話を聞くから。皆君と柏木さんを支えるつもりで動いてる」
「……ありがとう、ございます」
やっと少し、笑えた。
おじさんにも言われたことだった。柊平の気持ちを決めつけていた僕に、おじさんは自分が見たものと本人からの言葉を信じろと言ったのだ。
「話します。あの人と、向き合って……また、弱気になるかもしれないけど……」
「当たり前だよ。俺も他のスタッフも、支えられるように頑張るから」
「よろしくお願いします」
僕が頭を下げると、久住先生の方がもっと深く頭を下げた。
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