第四章

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「本当に、込み入ったことをずけずけとすみませんでした」  僕より下手したら十歳以上年上かもしれない久住先生だが、頭を下げる姿は少年のようで、どこか親しみやすい印象を受けた。 「あの、僕も込み入ったことを伺ってもいいですか?」  僕の声に、久住先生は頭を上げた。きょとんとした後、苦笑する。 「いいよ。俺本当に遠慮なく踏み込んだからね」 「パートナーの人とのこと、聞いてもいいですか?」  僕には想像できない、同性のパートナーとの歩む道。それがどのようなものなのか、気にならないわけがなかった。 「そうだよね。気になるよな。何か参考になることがあればいいんだけど」  そう言った後、久住先生は自分とパートナーの人のことを教えてくれた。  久住先生が高校生の時から付き合っている、年上の恋人。久住先生とは、幼馴染だったそうだ。家族ぐるみの付き合いをしていたから、当然、お互いの両親とも深い付き合いをしていた。
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