第四章

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 頭を下げて立ち去ろうとした僕に、久住先生は急いでいて早口になりながらも言った。 「その先……? 何を、望むって言うんですか、僕が……」 「俺も幼かった。君も幼い。柏木さんは、当たり前だけど君が思っているよりずっと大人だよ。幼い君は、望むことをもっとぶつけていいんじゃないかな」  そう言い残し、久住先生は早歩きで病棟の方へ上がっていった。  残された僕は、開けなかったコーラの缶を持ち、そこに立ち尽くした。  僕が望むこと。  それは、何?
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