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オレンジ色の光が散り、流れるようにきらきらと落ちていく。その光が消える前に、また新しいものが上がり、周囲を明るくした。
このマンションは特別高い建物でもないのだが、辺りに遮るような高い建物もない。花火を見るにあたって絶好の場所といえた。
「す、ご……、こんなに見えるんですね」
僕は柵まで歩いて、少しだけ身を乗り出す。人混みが苦手な僕は、花火大会に行ったことはなかった。だから初めて間近に見る色とりどりの光に、目を奪われる。
「高校生の時さ、湊とここの屋上に忍び込んで花火見たことあんだ。その時と、景色は変わらねえな」
おじさんに目をやると、一口、手に持っていたビールを口にしていた。少しずつ嚥下することしかできないから、口の中でよく味わっているようだった。そうしながら、切な気な目で花火を見つめていた。
ここは父とおじさんの、思い出の場所。
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