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◇
「ん……、凪……? 来てたのか?」
「インターホン押しても返事がないから、入ってきた。ごめんなさい」
「いや、こっちこそ悪かった」
バイトが終わった夕方、僕は直接おじさんの家に向かった。何度インターホンを鳴らしても返事がなかったため、焦って部屋の中に入ったのだ。
おじさんはただ眠っているだけのようだったが、声をかけてもなかなか目を覚まさなかった。揺り動かしてようやく、おじさんは目を覚ました。しばらくぼんやりと僕の顔を見た後、やっと覚醒して起き上がった。
僕はベッドから降りようとするおじさんを止める。僕の方はベッド近くにあるソファーに座った。
「結構痛くて、麻薬続けて飲んだんだ。そしたら眠気に堪えられなくなって」
「病院、行かなくていいんですか?」
「行ってもやること変わらないだろうからなあ。痛くなったら薬飲んで、寝てるくらい。それだったら、こうして凪が周りを気にすることなく会いに来てくれる方がいいからさ」
「病院にだって、会いに行きますよ。僕、隠しませんから。あなたを好きなこと」
「いやいや、隠しとけよー」
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