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◇
「倉田君」
翌日、久しぶりに深夜のバイトに入る。一緒にシフトに入っている澤口さんは、相変わらず人の事情を詮索しようとしないから、二人っきりでも楽だった。僕がしていることを、悪意はなくとも好奇心を持って聞いてくる人もいるから。
澤口さんの休憩中、ちょうどレジに一人でいると、久住先生がやってきた。いつも着ている白い白衣は羽織っておらず、紺色のスクラブを着ている。
先生はミネラルウォーターとおにぎりを二つ差し出した。
「当直ですか?」
「うん。今日は救外にいてね。救急車途切れなくて今やっと夕食だよ」
すでに日付を越えている。何時から働いているのかはわからないが、いつも爽やかな久住先生がこれだけ目に見えて疲れているということは、相当長時間休憩なしで働いていたのだろう。
「柏木さんはどうですか?」
会計を終えてビニール袋を手渡すと、久住先生は表情から疲れを消して、医師の顔になって尋ねた。
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