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「おじさん、ここからなら僕の家の方が近いし、少し休んで行きませんか? 母さんは今日帰りが遅くなる日なので」
僕の家の最寄り駅だった。本当は以前から、おじさんを家に招いても良いのでは、と思っていた。父のアルバムもあるし、おじさんは喜ぶのではないかと。
しかし、あそこは僕や父の家であると同時に、おじさんにとっては恋敵となった母の家でもある。だから迷ったのだ。
「んー……、いいのか?」
「はい。ここから歩いて五分ほどなので」
おじさんはゆっくりと立ち上がった。痛みの所為もあるだろうが、嬉しそうには見えない。おじさんも、迷っているようだった。
おじさんは僕の過去をよく見ている所為か、僕の家の場所もよくわかっているようだった。迷うことなく、家の前で足を止めた。
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