第五章

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「凪、ちょっと落ち着け」 「同情? 同情で好きになった人に、欲を感じます? 触りたいとか触ってほしいとか、セックスしたいとか……! 死期の迫った人にそういう欲を感じるのが、同情!?」  見返りは求めない。おじさんに温かい気持ちを感じてほしい。  そう思っていたはずなのに、口に出しながら、僕は自分の気持ちを自覚する。  時間がない。時間がない。このまま終わってしまう。おじさんに同情だと思われたまま。不本意な距離をとられたまま。  時間がない。終わりは、すぐそこに迫っている。 「あなたが父さんを好きだって言うなら、僕の目にキスしながらセックスしましょうよ! 父さんを見ながら、僕で抜いてくれればいい! 体力がないなら、僕が上に乗りますよ。できますよ、僕は父さんと違ってこれまで何度も男としてきたんだから」
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