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「そんなこと言うな……! 言うなよ……っ」
絞りだすような声に、泣きそうになる。僕が傷つけた。だけどここまで言ってしまったのなら、すべて吐き出してしまいたい。
「シてよ、父さんを思い出しながら、抱いて……」
「似てないって、言っただろ。湊と凪は、俺にとってまったく別の人間だって。凪を、抱けるわけないだろ」
抱きしめるおじさんの腕を無理矢理解いて立ち上がる。
「そうですよね! 僕のことはどうとも思ってないんだから!」
違う。違う。おじさんは僕のことも大切に思ってくれている。僕に悲しみだけを残さないように、心を砕いてくれている。あの温かい声は確かに、僕を慈しんでくれているのに。
そんなことわかっている。でも、抱けないと言われたことが悲しくて。自分もおじさんをも傷つける言葉が止まらない。
「抱けるわけないか。勃ちもしないです? はは、そうですよね。僕はどうとも思ってない人間なんだから」
「ふざけるなよ、凪」
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