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「なあ、時間が、足りないだろうが。俺と凪は似てる。一目惚れで人を好きになったりしない」
「一目惚れじゃ、ない……」
「だけど、時間が。好きになるのに、俺も凪も、本当は時間が必要なタイプだろ。柊平君とだって二年一緒にいた。そうやって凪は、少しずつ深く人を愛していくんだ。俺も、そう」
それを言われてしまえば、すべてが終わってしまう。僕とおじさんは、出会った時から時間など残されていなかった。
「そんな時間、最初からなかったじゃないですか……」
「そうだよ。だから、最初から始まるはずがない恋なんだよ」
「そんなの……! それでも、僕はあなたを好きになった! 時間なんか関係なく!」
出会ってからここまで過ごした時間は長くない。それでも僕は、おじさんへの想いを募らせた。
「セックス、しましょう? 身体を重ねたら、時間なんか関係なくなるくらい、きっと近く深く感じることができる。お願いです、お願い……」
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