第五章

25/51
前へ
/284ページ
次へ
「痛くしてくださいよ。それでイケるから」 「はは、合格」  睾丸を揉んでいた手が、完全に勃った僕のものに再び移動する。先ほどよりも強く扱かれ、腰が浮き、荒くなった呼吸が胸と腹を上下させた。 「あ、あっ、イキそ……っ」  おじさんの背中に縋りつくように手を伸ばす。おじさんは空いている片手で僕の頬を撫でた。そんな、愛おしんでくれているような仕草に、涙が溢れてくる。 「イくっ」  吐精する瞬間、「ごめんな」とおじさんが言った。好きな人の手で快感を得るという幸せな行為のはずなのに、その言葉で、これがおじさんにとっては、そういうものではなかったのだと気づいた。  ───セックスじゃない。僕が縋るから抜いてくれただけだ。  それでもそうじゃないと思いたくて、僕はおじさんのベルトに手をかける。おじさんは起き上がって僕から身体を離した。
/284ページ

最初のコメントを投稿しよう!

219人が本棚に入れています
本棚に追加