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「凪」
「やだ。触らせて。舐めさせて。セックスしてください」
自分の出したもので汚れているのにも構わず僕も起き上がるが、おじさんにベルトを掴む手をやんわりと引き剥がされてしまった。
「ここまでだ、凪」
「何が……? ここまでって何? ここまでしたら抱いてよ……!」
縋る僕から逃げるように、おじさんはベッドからよろりと立ち上がる。
「凪は言ったな? セックスして、時間なんか関係なく近く深く感じたいって。そうしてもっと深く好きになってどうする?」
「どうって……」
時間があったら、僕を好きになっていたと言ってくれたじゃないか。
「俺はもう、死ぬのに」
何もかも諦めた笑顔。一筋、その頬を涙が伝うのを見た。
僕に初めてみせる笑顔を残し、おじさんは出て行った。苦しそうだった。身体的に、だけではなく、心が。
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