はらぺこ食堂

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僕は、その会話を聞いて、思わず身震いした。 まんま、さっき体験したことではないか!? やばい、僕ははらぺこさまに喰われるのか!? 僕は恐ろしくなって、急に早く家に帰りたくなり、帰ろうとした。 すると、また意識が朦朧としだして、薄れゆく意識の中で、あの白く光る奇妙な物体が現れたのだった。おそらく、いや確実にそれがはらぺこさまなのだろう。ようく見れば、そいつは大きな口を開けて待っているようにも見えた。 もうダメだ…。喰われる…。 そう思ったとき、なぜだかはらぺこさまの方から、声が聞こえたような気がした。 いや、それは声というよりは、金属音のような、キーっといった音だった。 完全に音なんだけれども、モールス信号のように、あるいはテレパシーと言ったほうが良いのか、その意味が頭にすぐさま浮かんできた。 (わたしははらぺこさま。にんげんはきたないしくさいしまずいからくわないよ。だけどわたしははらぺこさまだからかわいそうなはらぺこのものをたすけなければいけないの。なんでわたしはたすけるかというとわたしもむかしあなたのようにとてもおなかをすかせていてそのときにほかのはらぺこさまにたすけられたから。わたしはそのときからほかのはらぺこさまやほかのいきものやにんげんまでもおなかがへっていてかわいそうなものをすくおうとちゃんとしたはらぺこさまになろうとけっしんしたんだよ。あなたはとてもおなかをすかせていたようすだったからばんさんかいにまねいたんだよ。あなたもわたしにたすけられたからはらぺこさまになってほかのはらぺこのかみさまやいきものやにんげんをたすけてくださいね。そうすればあなたのおかあさんもよろこぶといっているよ。あっあとごえんありがとうね。) …気付けば、僕は病院のベッドの中にいた。
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