第1章

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俺の名前は前田鬼理菟。高校二年生だ。 そんで、今は昼休み。俺は弁当に夢中だ。 友達がなんかテレビの話題で盛り上がってるが、腹が減ってるんだ。飯が先だろ。 半分くらい食べ終わって、お茶を飲もうと水筒を鞄から出していると一人が言い出した。 「今日カラオケ行かね?」 さらに盛り上がる俺以外。 「お、いいねえ。」 「俺行く!」 「誰か女子連れてこいよ。」 「馬鹿。誰が女子連れてこれるんだよ。」 「なあ、前田!お前も行くだろ?」 お茶を飲んでたら目が合った。急に振るなよ。 「あー、悪い。今日葬式あんだよ。」 平然と言う俺だが、この手は何度使ったことか。もうバレバレ。誰にも通用しなくなった。 「嘘つけ!葬式何回続いてんだよ!?お前んち呪われてんのか!?」 そうだよ。呪われてんの。そういうことにしよう。 「そうそう、なんか祖先が昔恨み買ったとかで」 「嘘つけ!」 ぐわっと両手を広げて叫ぶ友人。かぶせんなよ。 「ほんっと、前田は面倒くさがりだよなあ。」 その通り。俺は面倒くさがりなのだ。 めんどうごとには関わらないようにしてるし、自分の気が乗らないこともしない。 「あっ、お前ホントは音痴なんじゃね?」 「お前との会話が一番めんどくせーよ」 「ひでえ!」 笑いが起こる。こんな俺でも、友達は意外にも多勢いるし、学校生活も充実している。家庭環境もサラリーマンの父、専業主婦の母、中学生の妹。ごく普通だと思う。まさに俺は俺の理想とする人生を歩んでいるのだ!
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