11人が本棚に入れています
本棚に追加
そうだ! どうせ奴らの餌食になるのなら奴らを一匹でも多く道連れにしてやる。
アパートの通路側の窓から見えるガソリンスタンドの裏手に、タンクローリーが放置されていた。
あれで奴らを焼き殺してやる。
工具箱から登山ナイフと手斧を取り出す。
噛まれても直ぐ致命傷にならないように今の季節だと暑すぎるだろうが、冬物の皮ジャンを着こんでベルトにナイフを差し込み手斧を右手に持つ。
音を立てないよう慎重にドアの内側に築いたバリケードを撤去し、ドアを開け閉める。
足音を忍ばせ階段を下り左右を確認して道に足を踏みだそうとしたが、慌てて塀の陰に身を隠す。
身を隠し通りを窺う、目の前を奴らが3体呻き声を上げながら通り過ぎて行く。
こいつら獲物を見つけると全速力で襲い掛かって来るだけに3体も相手にできない。
逃げても、食料を少しでも長持ちさせる為節食したとはいえ、平均体重を大幅にオーバーしている自分の体重では10メートルも走らない内に、捕まる事が目に見えている。
見つかる訳にはいかない。
奴らの目を逃れてタンクローリーの傍にたどり着いた。
最初のコメントを投稿しよう!