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「だから……これに懲りたら、美奈のこと大事にしてよね! わかってないんだから、彰孝は幸せなんだよ? 美奈のこと、彼女に出来て。みんな羨ましがってるんだよ? 美奈、すごい人気者なんだから。美人なんだから。だから……返事してよ! なんで黙ってんのよ!? なんで白目剥いて泡吹いてんのよ! ちゃんと黒目でこっち見てよ、泡なんか吹かないでしゃんとしてよ! いつものカッコいい彰孝になってよ! もう、ほんっとしょうがないんだから!」
ごほっ。
ひとつ、大きく咽せて、せき込んだ。
それで、命がこぼれてしまった。
わかってしまった。
あと喋れるのは、一言ぐらい。
だからずっと美奈に言いたかったけど言えなかった言葉を、伝えることにした。
「――美奈」
「え? な、なによ? 言いたいことあるんだったら、聞いてあげないことも……」
「飯奢ってもらったら、ちゃんと礼言えよ」
ぼくは天国に、旅立った。
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