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ロミオとジュリエットも席に着くよう言われ、お茶が出された。
先ほどとは打って変わって、ほのぼのとした空気が流れる。
「ああでも、君たちってハムルの側近なのにそういう考え方をするんだ」
ハムルより年下だとは思えないほど大人びた考え方をするね、とクローディアスは面白そうな表情に少し意外だという感情を混ぜてほのほのと口を開いた。
「そういうってどういうことですか、兄上?」
ハムレットは台詞の意味が分からなかったようで、クローディアスに尋ねた。
しかしロミオはそれをきれいに流してクローディアスに答える。
「ハムレット殿下の行動に付き合うのに必要なのはこちらですからね」
「え、おい、ロミオ、お前は分かったのか?」
「この場で理解してないのはハムレット殿下だけですわ。むしろハムレット殿下のお側に控えていると慎重な言動が嫌でも身につきますもの」
ジュリエットもハムレットが会話の邪魔と言わんばかりに軽く流す。
「え、ジュリエットまで。いったい何のことだよ」
「ああ、もうそんな言葉づかいしなくていいよ。ここは身内だけだし。
まあ、確かにそうだよね。ハムルは思い付きで行動するから。あっちの対応は嫌でも鍛えられそうだ」
「だから何の話なんですか」
「はい、まさにその通りですわ。若さだとかやる気などといったものを示すのは、ハムレット殿下の役どころでしたので」
もはやハムレットの台詞には、気のない言葉すら返されなくなった。
「ハムル、この程度の会話くらいこなせるようになれ。この場で最も頭の中が軽いのはお前だぞ」
「父上!? その言いようはひどくないですか!?」
クローディアスは一切ハムレットの相手をしない。
唯一まともに相手をしてくれたリアからの言葉は、からかうような口調だが内容は厳しい。
「まったく仕方がないなぁ。そう思わないかい、ジュリエット嬢?」
「まあ、クローディアス殿下。ジュリエット嬢だなんてそんな」
クローディアスは自分の調子を崩すことなく楽しそうに(からかって)会話を続けている。
ジュリエットは両手を顔に当てて恥ずかしがるようなしぐさをした。
「そんな照れることはないよ、ジュリエット。君はとても美しいという言葉の似合う令嬢だ」
「ロミオまで、そんな……」
「みんなして俺で遊ぶのはやめてくれ!」
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