1.Feasting Presence Full of Light ー光あふれる祝宴の広間ー

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「『    』!」  少年の悲痛な叫び声が謁見の間に響き渡る。  少年は倒れ伏す少女に駆け寄った。  少女の傍らに膝をつく。  少女は抱き上げられてもピクリとも動かない。  まるで時が止まったかのように。  壊れてしまったかのように。  王も、王子も、大臣も、貴族も、騎士も、誰も彼も動けない。  ただ、少年の時だけが進み続ける。 「どうか眼を開けてくれ、『    』!」  少年は少女を抱きしめた。  けれどもう、少女が少年の願いを叶えることはない。  もう二度と、少女の心の蔵が鼓動を打つことはない。  砕け散った硝子が元の美しい姿を見せることはないように。 「ああ、『    』。どうして君がこのような目に合わねばならないのだ」  少年の眼から涙が零れ落ちる。 「なぜ愚かな大人たちが負うべき責を自ら引き受けるのだ」  少女の手の甲が雫に濡れた。 「君は優しすぎるよ、『    』」  悲しそうに、だが愛しむように微笑む。 「でも、そんな君を私は愛したんだ」  とめどなく流れる涙をぬぐうこともせず。 「永遠に君とありたいと願わずにはいられないほどに」  そっと少女に口付けた。 「許してくれ、『    』。君がいない世界は、黒と白だけのとても寂しい世界なんだ」  少女を抱きしめたまま立ち上がる。 「だから、君と共に眠るよ。君のとなりで」  笑顔をたたえて、もう動かぬ少女にそう告げる。 「君が、『    』が私を置いていったのだから。このくらいの我が侭はいいだろう?」  その笑みからは、悲しき喜びがあふれていた。 「いこう、『    』。そして私たちの願いを、幸せを叶えよう」  少年は少女から目を離す。  そして王を見つめた。玉座の王を。  その瞳の先にあるのは暗い闇なる幸福か。  扉をくぐり姿を消す。  それはまるで栄光へつながる門のようにも見えた。  少年のその姿が見えなくなるまで、誰も指の一本すら動かせず。  誰も声を上げることすらできなかった。
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