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ありえない言葉が聞こえた気がした。
――今、こいつらは何と名乗った?
さすが王族と言うべきか、瞬時に解凍したが、今度はどこから突っ込むべきか頭を悩ませる。
リアは取り敢えず無難と思われるところから尋ねてみた。
「……。あー、モンタギュー伯爵家とキャピュレット伯爵家にそんな名前の者がいたか?」
「私たちは妾腹の生まれですので。ご存じなくとも無理はありません」
「わたくしもロミオも、ハムレット殿下にお会いするまで王都に訪れたことすらほとんどございませんでしたので」
とても無難な、納得できる回答だ。予想はしていたからリアもクローディアスもさして驚かない。
問題はもう一つの方だ。
リアとクローディアスは顔を見合わせる。意を決してクローディアスが問いかけた。
「……。性別、は……」
ロミルダは女性名、ジュリアスは男性名のはずだ。だが、ここにいるのはロミオという男性とジュリエットという女性にしか見えない。
問われた二人は忌々しそうにハムレットをにらんでから答えた。
「ロミルダとジュリアスが本来の性別です」
衝撃の事実を聞かされた王族二人は頭を抱える。
――いったい何故このようなことを。
その理由を問おうと口を開く前に、ジュリエットの不機嫌そうな声が応接間に響き渡った。
「わたくしたちがこのような格好をし、このように名乗っておりますのは、ひとえにハムレット殿下のご趣味ですと申し上げておきますわ」
「………………ハムレット……」
「………………ハムレット……」
リアとクローディアスがハムレットを見る目はひたすら白い。
今夜は家族会議だろうか。いい気味だ、とロミオとジュリエットは心の内でつぶやく。
ハムレットは明後日の方を向いた。
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