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ぼくが5才くらいの頃のことだ。
ぼくは夕海(ゆうみ)という女の子と幼なじみだった。近所の裏山にある神社がいつもの遊び場だった。
そこは、青銅の鳥居がある小さな神社で、境内で鬼ごっこをしたり、神社の縁の下の砂地にたくさん造られているアリジゴクに蟻を落としてみたりといろんな遊びをしていた。
ある日の夕暮れだった。
「あ!ショウちゃん、ビー玉が落ちてる!」
夕海が指差した方を見ると、ご神木としてしめ縄がかかっている銀杏の大木の根元に、青色とオレンジ色のビー玉がふたつ転がっていた。
ふつうのビー玉よりも色が濃く、青は晴れ渡った空の青、オレンジ色は夕暮れのグラデーション。そして、まんまるではなく、一か所だけ少しとがっている。
「きのうは、なかったよね、
だれかが落としたのかなあ」
「でも、ここにはあんまり、
ほかの子はこないよねえ」
ぼくたちが、しゃがんでじっとビー玉を見つめていると、後ろから声が聞こえた。
「それは産土(うぶすな)さんがくれたのよ」
振り返ると、日傘を差した女の人がぼくたちを見おろしていた。
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