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「もうお菓子ないよ…」
ゴソゴソとリュックを漁っていた藤乃先輩が、焦ったように俺たちを見る。
…もうない…
その一言で、ジワジワと恐怖が心に広がる。
そうだ…俺たちは訳の分からない内にこんな所まで来てしまったが、当然お腹が減る。
しかし、食べ物の当てが無い…。
…餓死…
その可能性を思い出したのは俺だけじゃないみたいで、全員の顔から余裕が消えた。
「まずいな…」
澤野先輩が呟く。
「おい、藤乃。そのリュックの中に他に役立ちそうな物はねぇか?」
「……」
ガサゴソ
焦って鞄を漁る藤乃先輩は、中の物を一つ一つ出して並べる。
その中に、何故かフライパンやら手裏剣が混じっている…
「お…?」
その中で澤野先輩が1枚の紙切れを手に取った。
「地図だ…」
そう、呟くと地図を地面に広げる。
「……私達、今どこら辺なのかしら?」
………
分からない…と言うか想像も出来ない。
「今はこの辺でしゅ!」
全員が暗い顔をしていると、覗き込んだ天使が指を差した。
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