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「…さて、状況を整理しようか。」
澤野先輩は、ドカッとその場に腰を下ろすとそう提案する。
「ちょっと待ってよ、ここだと日焼けしちゃうじゃないの。」
「姉さん…その…先輩だから一応敬語使った方が…」
その提案に異を唱える水谷先輩。
「……」
澤野先輩は、渋々と言った感じで腰を上げると全員で近くにあった木陰に移動した。
「さて、改めて状況を整理しようか」
「あ!リュックの中に水筒があったよ姉さん!あと…これは何だろう?お菓子?…へへ」
リュックをゴソゴソと漁っていた藤乃先輩が嬉しそうに取り出したのは、水筒とコップ、それにクッキーに良く似たお菓子の様な物だった。
「食べよぉ~」
藤乃先輩がコップにいそいそと赤いジュースのような物を注ぎ、お菓子のような物を1人一個づつジュースとセットで配る。
その様子を、またもや話の腰を折られた澤野先輩が冷ややかな目で見ていた。
「んで、今の状況何だが…」
頂いたジュースを手に、澤野先輩の話に耳を傾けようとしていると、視界の端に異様な物が映った。
「あっ!」
思わず声を漏らすと、澤野先輩の目がギロリと俺を睨む。
ひっ…怖…
そう思いながらも、空を指差す。
すると、全員俺の指の先を目で追った…
「きゃっ!何アレ~」
「て…天使…??」
「……」
そう、そこには
真っ白な羽根をパタパタと羽ばたかせながら、こちらに飛んでくる幼児(♀)が居た。
髪は金髪、服装は白一色でフワフワとしたアレを着ている。
手に弓矢は持っておらず、代わりに封筒を持っていた。
まさに、天使以外の何物でもなさそうな幼女が飛んでくる。
俺らが呆気に取られていると、近くまで飛んで来た天使は、ニコリと微笑むと封筒を持った腕を上げた。
そして…
ビュン!
バシィッ!!
「…」
藤乃先輩の顔目掛けて思いっきり封筒を投げ付けた。
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