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藤乃先輩は、即座に顔の封筒を手で払い落とすと、近くにあった拳大の石を掴む。
ビュン
それを、ニコリと微笑んでクルリと踵を返した天使に投げ付けた。
…早い…!
封筒が剥がれた瞬間の、普段オットリとした藤乃先輩からは想像も出来ないギョロリと剥き出した目に恐怖お覚えた。
『ギャッ!』
ドカっ!
と言う音と共に見事命中した石のダメージにより、落下する天使。
その落下地点に向かって猛ダッシュした藤乃先輩は、飛び上がって天使の羽根の片方を掴むとそのまま…
ドシャッ!
地面に思いっきり叩き付けた。
うわぁ…
藤乃先輩は、遠心力で千切れたであろう血塗れの羽根をサッと投げ捨てる
「さ、何処へでも飛んでっていいよ」
地面に顔面から突っ込んでピクピクしている天使に笑顔を見せたが、眉がピクついている藤乃先輩。
「ちょっとアンタ、やり過ぎよ…」
俺と同じように放心状態になっていた3人の中で、一番早く復活した水谷先輩が声をかけた。
「だ、だって…」
バツの悪そうな顔をする藤乃先輩。
因みに、俺と澤野先輩は絶賛絶句なうである。
バッ!
「は…羽根が一本毟れちゃったでしゅ…!」
そんな最中、いきなり天使がガバッと顔を上げる。
その顔は涙と鼻血と泥で汚れ、服は血と泥で汚れていた。
「片羽の天使は堕天使になっちゃうでしゅ……わ…わわ、闇おちしゅるでしゅ~!」
そう言う天使の羽根が、血とは別の黒い色が毛先から染め上げて行く。
「ああ~悪い子になっちゃうでしゅ~!」
泣きながらそう叫ぶ天使。
案外余裕ありそうだな…
「大変!じゃぁコッチもだね!」
ブチィッ
次の瞬間、黒く染まりつつある羽根を掴んだ藤乃先輩の手から響いた嫌な音とと
「ギャワァァァ!」
天使の絶叫がこだました。
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