《第1章・失恋しました》

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【手がかりが掴めるまで肌身離さず持っているしかない】…か。 唐沢先輩のアドバイスのとうりカバンやポケットに指輪ケースを入れている。 私用の為にバイトを休んだ午後6時、俺は友達との付き合いでオフィス街近くにいた。 行き交う人達は俺達よりか少し上っぽい制服や高そうなスーツを着たOL・CMで目にする…俺らも就活で着なきゃいけないスーツに革靴のサラリーマンが話をしながら歩いている。 夕食は何処で食べるとか、明後日の資料作りが憂鬱だとか、彼や彼女とのデートに遅れそうだとか。 歩きながら耳に入る会話もBGMに聞こえてきだした錯覚さえ思えてきた頃。 ある単語が耳に入った! 『隣の課の人、つき合ってた津川専務にふられたみたいよ』 『津川修治?』 『みんな狙っていたから、さっそくうちの課の先輩が口説くんだって(笑)』 『化粧の濃いあの先輩?叶うわけないわよ(笑)』 修治? たしかあの人は【修治さん】って…! 俺は過ぎ去った彼女達に声をかけた。
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