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自転車で15分の場所の住宅が並ぶ一角に波留の住む一軒家があり、玄関側にあるLEDがバッと灯り波留を照らす。
22時30分…いつものように風呂場に向かい、脱いだ私服とコンビニの制服を洗濯機に入れた。
カツン…かすかに洗濯機から音がして慌てて制服を取り出す。
蒼いケースに入った指輪を取り出しとりあえず側の棚に置いたが、俺は翌日母さんに問いつめられるまで指輪の存在を忘れていた。
『波留っ、波留っ』
朝8時前に母さんが指輪ケースを片手に、疑わしき表情で部屋に入ってきた。
『ん…起きるよ』
陽の光が部屋に模様を作りはじめていて、眩しそうにまた目を閉じた。
『学校にはまだ間に合うから良いの、私が言いたいのはコレよコレ!
波留っ、バイトしてるのはつき合ってる奈緒美ちゃんと結婚したいからかい?』『はっ?母さん朝から何言って…奈緒美とは別れたんだ…って指輪!』
波留はパチッと目を見開いて指輪に手を伸ばした。
『返せって』
『見た感じえらく高級そうな指輪だけど?』
『疑うなよっ、俺のじゃねぇっ』
支度をしながら側でうろついてる母さんに昨夜の事を話していた。
『そうだったの…母さん何故か焦っちゃって。
奈緒美ちゃんと結婚するのかと、おまえが指輪を買うように奈緒美ちゃんを好きかと思って焦っちゃって…』
『ふられたんだ、奈緒美とはもう関係ない』
そう、俺は失恋したんだ…
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