魔の指輪

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結婚を控えて、彼女とバカンスで有名な南洋の「B島」へ飛んだ。 やけに多い日本人観光客と商魂たくましい現地の売り子を除けば、ぬるい風に身を任せてゆっくりと過ごす休暇はいいものだ。 さて、その不思議な指輪を手に入れたのはそんなことを考えながら、彼女とビーチに二人転がって真っ昼間から酒を飲んでいた時だった。 「スミマセン!ユビワ、カワナイカ!」 「B島」のビーチには男連れでもかまわず女を引っかけようとするナンパ少年が多いのだが、今回は違ったようで、 やけにしわがれた声にびっくりして顔を起こすと、皺と目と口の区別がつかない老婆が土産物か手提げカゴを持って立っていた。
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