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当然、私は無言で手を振り、追い払う仕草をしたのだが、例に違わずこの老婆も根性があるようで、
「マホウノユビワ!マホウノユビワ!ヤスイヨ」
と私たちにまとわりついて離れない。
「ねえ、あっくん・・・」
追い払う、近寄るを繰り返す奇妙なワルツを私が老婆と踊っているうちに、気の毒に思ったのか私の彼女が「私が買うから」といって私と老婆の仲裁にはいった。
垂れ眉がトレードマークな彼女は猫に例えるとマンチカンであり、どこかお人好しな所がある。
そして今もしている、唇をとがらせながら眉をひそめる彼女の困った顔はとても愛くるしく、さすがの私もつい許してしまう。
「ありがとう、じゃあ買ってくるね」
そう言うと私からすこし距離を空けて彼女と老婆二人、砂浜のど真ん中でなにやら交渉のようなことを始めた。
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