封印された手鏡

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 北脇里緒(きたわきりお)の母方の祖母が亡くなったのは、今から五年前の、中学三年生のときだった。  葬儀に出席するため、福島県の母方の実家を訪れた。  そのとき、祖母の形見(かたみ)ということで、里緒(りお)は木枠の手鏡をもらってきた。  隠居部屋に置いてある、祖母がいつも使っていた手鏡だった。  おばあちゃんの思い出ということで、これがほしいと里緒は言った。  すると、親戚のおばさんがこんなことを話したのだった。 「いいよ。もっていきな。その鏡はねえ、戦時中にどこかからもらってきたものでね、不思議な魔力が宿っているんだよ」 「ヤダっ」  と、里緒は持っていた手鏡を畳の上に落とした。
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