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――眠らない男――
真冬でも、龍一の身体は、時折冷たい水のシャワーを欲する。
それは身体中についた古傷が痛むわけでも、発熱しているわけでもない。
ただある日突然、突き上げるような激情の炎が、身体の奥から噴き上がり、全身を焼き尽くしてしまいそうな高熱に襲われるのだ。
そして、何を行っても成功しそうな、身体のすみずみを満たす活力と共に、何もかもを壊してしまいたくなる凶悪な破壊衝動に襲われる。
こういう状態の龍一は、例え何を敵にまわしても、けっして負けたことはない。
事実、以前の仕事に身を置いていたときには、この症状を心待ちにしたものだ。
そしてこうなった龍一は、間違いなく無敵だった。
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