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龍一は耐え切れずにふきだした。
「なんで龍一は、いつも訳のわかんない所で笑うのよっ!」
美百合が怒れば怒るほど、可笑しくって仕方ない。
下世話な言葉を使えば、ツボに入ったとでも言うのだろうか。
「もう、龍一なんか知らない! 噛むっ」
美百合のバカな行為を止めたくても、その前に自分の笑いを止められない。
誰と一緒にいたって、龍一がこんなに笑うことはない。
けれど美百合が傍にいるとしょっちゅうだ。
――わかった、悪かった――
と息も絶え絶えになりながら、膨れる美百合を宥めにかかる。
「……ルームサービスでも頼むか?」
美百合には、絶対に逆らえない龍一は、一番早い手段を提案する。
「ヤダ、ラーメンがいい!」
しかし返ってきたのは、美百合お得意の超我がまま。
ホテルのスイートでラーメン……。
数々の強敵を翻弄してきた、龍一のあの驚異的な頭脳が生み出す作戦は、美百合には通用したためしがない。
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