第1章

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俺は普通の男だ。 学歴も普通、仕事もごく普通のサラリーマン。嫌になるくらい普通だ。 容姿もこれといって目立つ方ではないが、まったくモテないというわけでもない。 趣味は草野球とギャンブル。特にギャンブルはやめられない悪癖だ。 実は借金まみれで完全な自転車操業。 いずれ破産するか自殺するかの二択を迫られるだろう。 お気楽な俺はそうなったらなったでその時決めればいいくらいに思っている。 ちなみに今は彼女はいない。狙っている女性はいるが、どうなることやら。 そんな俺に奇妙な出来事があった。 ある休日のことだ。 朝に草野球の試合をして、家に帰ってきた俺は風呂に入って汗を流した後、昼間からビールを飲みスマホをいじっていた。 適当にネットをしながら、半分は寝ていたんだと思う。 うつらうつらしながらエロいブログや映画のレビューなんかを見ていた気がする。 まあ彼女のいない俺の休日なんてこんなもんだ。 その時、何のサイトを見ていたかは忘れたが、寝ぼけていた俺は画面の何も無いところをタップした。 それだけは何となく覚えている。 リンクも何も無いところを意味も無く指先で押した。 すると妙なサイトに辿り着いた。 スマホ用のアプリが置いてあるサイトだった。 と言っても置いてあるのは一つだけ。 説明文が書いてあるが適当に読み流して画面をスクロールさせる。 〝これがあればあなたの人生は思うがまま。すぐにダウンロードして使ってみましょう〟 こんなよくある宣伝文句がそのアプリのダウンロードボタンの上に見える。 よくあるインチキアプリかと思ったが、酔っていたのも手伝い勢いでそのアプリをインストールしてしまった。
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