第1章

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そのまま二時間ほど寝てしまったのだが、起きてスマホを見ると見覚えのないアイコンがあることに気付く。 何をするためのアプリだかわからずにスマホに入れてしまった俺はブラウザの履歴からそのサイトに行こうとしたが、すでにそのサイトは存在していなかった。 うーん、困った。一体、何のアプリなのだろう。 俺は恐る恐るそれを起動する。 妙な笑顔のマークが一瞬だけ現れて、すぐに数字のダイヤルが現れた。 横一列に数字が表示されている。 ちなみに今、表示されているのは2015、07、05、16。 その下にPUSH!と書かれた決定ボタンのようなものがある。 2015年7月5日16時と言うことなのだろうか。 時計を見ると、16時57分。日付も今日のもので間違いない。 それぞれがダイヤル式になっていて指で触るとクルクルと回る。 時間の所だけは長押しすると消すことが出来た。 もう一度長押しすると再び現れる。 出来の悪い時計みたいだ。それとも何かのタイマーだろうか。 俺はタバコを吸おうと思ったが、空だったので新しいものを開けた。 火を付けてくわえタバコでスマホを見る。 試しに最初に表示されていた数字に戻し、決定ボタンを押してみた。 一瞬、画面が点滅したが何も起こらない。 何度か押してみても画面が点滅するだけでその他には何も起こらなかった。 俺はタバコを指に戻し、スマホをテーブルに放った。 時計を見ると16時59分。 そして17時00分になった。 視界がほんの一瞬、揺れた気がした。 タバコを吸おうとしようと、右手を口に近付けるとそこにタバコはなかった。 消した覚えはない。妙だな。 新しい一本を取ろうとすると、確かにさっき開けたはずのタバコの封が開いていない。 どういうことだ? 確かにタバコを開けたのは覚えている。 銀色の紙を破いた時の感触も指先にある。
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