episode152 ワインとライム

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血相変えてやってきた貴公子が 運転席の窓を叩いた時には――。 「残念。一足遅かったな」 もう出発の準備はできていた。 ニヤリ笑って アクセルを踏み込む。 「ライムの種も、一つ残らず取っていたんだろうさ」 薔薇の棘と同じように――。 開きかけの門の間をすり抜けて 俺は車を走らせた。 行きつく先は? 地獄か はたまためくるめく楽園か。 鍵を握っているのは常に おまえだよ、和樹――。
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