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血相変えてやってきた貴公子が
運転席の窓を叩いた時には――。
「残念。一足遅かったな」
もう出発の準備はできていた。
ニヤリ笑って
アクセルを踏み込む。
「ライムの種も、一つ残らず取っていたんだろうさ」
薔薇の棘と同じように――。
開きかけの門の間をすり抜けて
俺は車を走らせた。
行きつく先は?
地獄か
はたまためくるめく楽園か。
鍵を握っているのは常に
おまえだよ、和樹――。
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